訪問型と施設型、何が違うの?
病児保育には、保育士や看護師が配置された施設に通う施設型と、看護師等や保育士が自宅を訪問する訪問型があり、国の実施要綱では運営形態や職員配置の基準がそれぞれ異なると定められている。この記事では、こども家庭庁の実施要綱とベビーシッターの届出制度という2つの公的な仕組みを手がかりに、両者の位置づけと利用までの流れを整理する。利用料や対象年齢、予約方法は市区町村や施設ごとに異なり、本記事で確認できた公表情報の範囲を超える断定はしない。
制度上の整理:訪問型と施設型はどう位置づけられているか
病児保育事業(国の実施要綱)
病児保育事業は、保育を必要とする乳児・幼児、または保護者の労働や疾病などの事由により家庭での保育が困難な小学校就学児童で、疾病にかかっている場合を対象とする。実施主体は市町村(特別区・一部事務組合を含む)で、市町村が認めた者へ委託等を行うことができる。対象年齢・学年の範囲は市町村の運用により異なる。
事業の類型は4つある。病児対応型は「児童が病気の回復期に至らない場合であり、かつ当面の症状の急変が認められない場合」に、病院・診療所や保育所等に付設された専用スペース等で一時的に保育する。病後児対応型は「児童が病気の回復期であり、かつ集団保育が困難な期間」に同様の場で保育する。体調不良児対応型は、保育所等に通所中の児童が保育中に微熱などの体調不良となった場合に、保護者が迎えに来るまで緊急的に対応する事業で、看護師等1名に対し体調不良児は2人程度を預かる。非施設型(訪問型)は、病児または病後児を対象に、児童の自宅で一時的に保育する事業で、研修を修了した看護師等・保育士・家庭的保育者のいずれか1名が、1人程度の病児(病後児)を担当する。
職員配置は、病児対応型・病後児対応型が看護師等を利用児童おおむね10人につき1名以上、保育士を利用児童おおむね3人につき1名以上とされている。実施にあたっては、対象児童をかかりつけ医に受診させたうえで保護者と協議し、受け入れまたは訪問を決定する。医療機関でない施設が実施する場合は、保護者が記載し医師が入院の必要性はない旨を署名した連絡票で症状を確認する。保護者負担については、要綱は事業実施に必要な経費の一部を保護者負担とすることができるとしているが、金額そのものは定めていない。利用料は実施する市町村・施設ごとに異なる。
この要綱は、こども家庭庁成育局長から令和6年3月30日付で都道府県知事あてに通知され、令和6年4月1日から適用、令和7年3月31日に一次改正されている。
ベビーシッター(認可外の居宅訪問型保育事業)の届出制度
認可を受けずに乳幼児の居宅等に訪問して保育事業を行う事業者は、法人・個人の別や1日に保育する乳幼児の数にかかわらず、都道府県知事(指定都市は市長)への届出が必要で、事業開始後1か月以内に提出する。横浜市の案内によると、この届出義務は児童福祉法の改正により平成27年4月から課され、平成28年4月からは全ての事業者が対象になった。届出の対象となる事業者は、設置者の氏名または名称、施設の名称・所在地、事業開始年月日などを利用者に提示することが基準上義務づけられている。
なお、国の病児保育事業の非施設型(訪問型)は市町村が実施する事業であり、民間のベビーシッター事業者による病児対応サービスとは別の仕組みになる。民間サービスの料金・内容は事業者ごとに異なり、統一された基準や相場は本記事で確認できた公表情報の範囲では確認できていない。
実際に動くときの段取り
一般的な流れとしては、まずお住まいの市区町村の病児保育担当窓口に、対象年齢・利用できる類型・近隣の施設や訪問サービスの有無を確認する。次に、お子さんの症状についてはかかりつけ医に相談し、受診結果に応じて連絡票の作成や受け入れの判断が行われる。多くの事業では事前の利用者登録が必要になるほか、自治体によっては空き状況を見える化した予約システムが用意されている場合もある。民間のベビーシッターを利用する場合は、都道府県等への届出を行っている事業者かどうか、設置者情報などの提示を受けて確認するとよい。登録・予約・当日の持ち物や確認事項は市区町村・施設によって異なるため、その都度窓口や施設に確認する必要がある。
施設型と訪問型、混同しやすい点は?
訪問型は自宅でスタッフが保育する点で施設型と大きく異なるが、どちらも市町村が実施する場合は同じ実施要綱に基づき、受診や連絡票などの手続きの枠組みは共通している。
勘違いしやすい点として、非施設型(訪問型)は市町村が実施する公的な事業であり、民間のベビーシッターによる病児対応とは別物であることが挙げられる。また体調不良児対応型は、すでに保育所等に通所している児童が保育中に体調を崩した場合の緊急対応であり、病児対応型・病後児対応型のように受診後に新たに利用を申し込む仕組みとは前提が異なる。保護者負担額についても、国の要綱は金額を定めておらず、実施する市町村・施設ごとに異なる点に注意したい。予約システムについても、空き状況の見える化は自治体の取り組みとして位置づけられているもので、全国で統一された仕組みではない。
よくある質問(FAQ)
Q. 訪問型と施設型、どちらを選ぶべきですか。
A. 本記事で確認できた公表情報の範囲では、どちらが向いているかを一般的に断定することはできない。対象となる類型や利用できる施設・訪問サービスは市区町村によって異なるため、お住まいの病児保育担当窓口に確認してほしい。
Q. 利用するには必ず病院を受診する必要がありますか。
A. 病児対応型・病後児対応型・非施設型(訪問型)では、対象児童をかかりつけ医に受診させたうえで保護者と協議し、受け入れや訪問を決定する仕組みになっている。受診の要否や症状の判断そのものはかかりつけ医に相談する必要がある。
Q. 利用料はどれくらいかかりますか。
A. 国の実施要綱は保護者負担の金額を定めておらず、利用料は実施する市町村・施設ごとに異なる。具体的な金額はお住まいの市区町村や利用予定の施設に確認する必要がある。
Q. 民間のベビーシッターに病児対応を頼む場合、何を確認すればよいですか。
A. 居宅訪問型の保育事業者は都道府県知事等への届出が義務づけられており、設置者の氏名・名称や事業開始年月日などを利用者に提示することになっている。届出の有無や提示内容を確認するとよい。料金や対応内容は事業者ごとに異なる。
Q. 予防接種を済ませていないと利用できませんか。
A. 要綱では、受け入れに際して施設が予防接種の状況を確認し、必要に応じて助言することとされているのみで、接種を利用の条件とする記載は確認できていない。判断が必要な場合はかかりつけ医や利用予定の施設に確認してほしい。
この記事で言えないこと
この記事は、こども家庭庁の実施要綱とベビーシッターの届出制度という公表情報の範囲を整理したものであり、個々のご家庭が利用できるかどうか、具体的な利用料や減免の有無、お子さんの症状が受診や利用の対象になるかどうかを断定することはできない。これらの判断は、かかりつけ医、お住まいの市区町村の病児保育担当窓口、利用予定の各施設がそれぞれの基準に基づいて行うものである。また、休暇の取得に関する相談は勤務先の人事労務窓口に確認してほしい。より詳しい制度解釈や個別の税務・法律に関する判断が必要な場合は、社会保険労務士など専門家に相談することをおすすめする。
※本記事は2026-10-07時点で公開されているこども家庭庁・厚生労働省の公表情報および各自治体の公式ページをもとに作成した一般的な制度解説です。病児保育の対象・利用料・減免・登録や予約の方法は市区町村・施設ごとに異なり、記事中の自治体の数値は例示であって全国共通の基準ではありません。本記事は医療に関する助言や診断を行うものではありません。お子さんの症状や受診の判断はかかりつけ医に、利用の可否・料金・手続きはお住まいの市区町村の病児保育担当窓口と各施設に、休暇の取得は勤務先の人事労務担当窓口に直接ご確認ください。本記事は特定の施設・事業者・サービスの利用を推奨するものではありません。


