仕事を休めないとき|子の看護等休暇と病児保育の使い分け

病児保育

仕事を休めない日に頼れる制度を整理する

子の看護等休暇は法律で定められた休暇制度であり、病児保育事業は病気の子どもを施設等で一時的に預かる仕組みであるため、どちらを使うか、あるいは組み合わせるかは家庭の状況によって検討する必要がある。

子どもが急に体調を崩したとき、「休暇を取るか、預け先を探すか」で迷う家庭は多くあります。この記事では、公表されている制度の仕組みを整理し、実際に動くときの段取りと、誤解されやすいポイントをまとめます。なお、お子さんの症状の判断や受診の要否については本記事では判断できません。必ずかかりつけ医にご相談ください。

子の看護等休暇と病児保育、それぞれの仕組み

子の看護等休暇(育児・介護休業法)

子の看護等休暇は、小学校3年生修了までの子を養育する労働者を対象とする休暇制度です。付与日数は、子が1人の場合は1年間に5日まで、子が2人以上の場合は1年間に10日までで、取得の単位は1時間単位及び1労働日単位です。取得できる事由は、病気・けがをした子の看護をする場合のほか、子に予防接種・健康診断を受けさせる場合、感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合、子の入園式・卒園式・入学式に参列する場合です。労使協定により、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は対象から除外できるとされています。

厚生労働省によると、令和7年4月1日の改正で、感染症に伴う学級閉鎖等への対応や入園式・卒園式・入学式への参列が取得事由に追加され、対象となる子の範囲が小学校3年生修了までに拡大されました。この改正にあわせて、旧称の「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」に名称が変わっています。休暇中の賃金が有給か無給かは勤務先の就業規則等によるため、一律の扱いはなく、勤務先の人事労務窓口で確認する必要があります。

病児保育事業(国の実施要綱)

病児保育事業は、保育を必要とする乳児・幼児、または保護者の労働や疾病その他の事由により家庭で保育を受けることが困難となった小学校に就学している児童で、疾病にかかっているものを対象とする事業です。実施主体は市町村(特別区及び一部事務組合を含む)で、市町村が認めた者へ委託等を行うことができます。対象とする年齢・学年の範囲は市町村の運用により異なります。

事業には複数の類型があります。病児対応型は、児童が病気の「回復期に至らない場合」であり、かつ当面の症状の急変が認められない場合に、病院・診療所や保育所等に付設された専用スペース、または専用施設で一時的に保育する事業です。病後児対応型は、児童が病気の「回復期」であり、かつ集団保育が困難な期間に、同様の場所で保育する事業です。体調不良児対応型は、児童が保育中に体調不良となった場合に保育所等で緊急的な対応を図る事業で、対象は事業実施保育所等に通所している児童です。非施設型(訪問型)は、回復期に至らない場合または回復期であり、かつ集団保育が困難な期間に、児童の自宅で一時的に保育する事業です。なお、「回復期」「症状の急変」といった表現は事業類型を区分するための実施要綱上の言葉であり、実際の判断はかかりつけ医によります。

職員配置は類型ごとに定められ、病児対応型・病後児対応型は看護師等を利用児童おおむね10人につき1名以上、保育士を利用児童おおむね3人につき1名以上配置します。体調不良児対応型は看護師等を1名以上配置し、看護師等1名に対して体調不良児は2人程度を預かります。非施設型(訪問型)は、研修を修了した看護師等・保育士・家庭的保育者のいずれか1名に対して、病児(病後児)は1人程度とされています。

利用の流れとしては、病児対応型・病後児対応型・非施設型(訪問型)では、対象児童をかかりつけ医に受診させた後、保護者と協議のうえ受け入れまたは訪問の決定が行われます。医療機関でない施設が病児対応型や非施設型(訪問型)を実施する場合は、保護者が症状・処方内容等を記載し、診察した医師が入院の必要性はない旨を署名した連絡票で確認したうえで決定します。受け入れに際しては、施設が予防接種の状況を確認することとされています。

利便性の確保として、病児対応型・病後児対応型では市域内の施設の空き状況を見える化した予約システムを構築する等の取り組みが求められ、複数施設がある場合は利用者が重複予約をしないよう、ICTの活用や利用前日の確認などの対応策を講じることとされています。事業に必要な経費の一部は保護者負担とすることができますが、国の実施要綱自体は保護者負担の金額を定めていません。利用料は実施する市町村・施設ごとに異なるため、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。こども家庭庁によると、この実施要綱はこども家庭庁成育局長が令和6年3月30日付けで都道府県知事あてに通知したもので、令和6年4月1日から適用され、令和7年3月31日に一次改正されています。

病児保育の利用実態に関する国の調査(令和5年度)

こども家庭庁の令和5年度調査研究事業では、未就学のこどもがいる保護者2,000件へのアンケートで、病気により通園・通学できず対応に困った経験が「ある」と答えた人が47.3%、病児保育を「利用したことがある」と答えた人が13.6%でした。利用したことがない1,728件では、「名前は知っているが、利用方法までは知らない」が51.4%、「全く知らない」が33.9%、「利用方法までよく知っている」は14.8%にとどまります。同じ1,728件に利用意向を聞くと「利用したいと思う」は35.8%で、理由として最も多かったのは「職場が忙しかったり、代わりに頼める人がいない等により、仕事を休みにくいため」の56.9%でした。

一方、市町村アンケート(回答1,068市町村)では、子ども・子育て支援交付金の対象となる病児対応型・病後児対応型の施設が自市町村にないと答えた市町村が39.6%、企業主導型や市町村独自型を含めても施設がないと答えた市町村は36.0%でした。これらの割合はあくまで調査に回答した対象の範囲での結果であり、全国の現在の状況や個別地域の整備状況を示すものではありません。

仕事を休めないとき、何から確認すればいい?

勤務先に子の看護等休暇の条件と賃金の扱いを確認し、同時にお住まいの市区町村に病児保育の実施状況と登録方法を問い合わせるのが基本の流れです。事前の手続きが必要になることも多いため、子どもが元気なうちに確認しておくと、いざというときに選択肢を検討しやすくなります。

一般的な確認の順番としては、次のような流れが考えられます。まず勤務先の人事労務窓口で、子の看護等休暇の対象・日数・取得単位・賃金の扱いを確認します。次に、お住まいの市区町村の担当窓口で、病児保育事業の実施の有無、類型(病児対応型・病後児対応型・体調不良児対応型・非施設型)、対象年齢、登録・予約の方法を確認します。利用したい施設がある場合は、受け入れの条件(かかりつけ医の受診や連絡票の要否等)を事前に確認しておくとよいでしょう。そして実際に子どもが体調を崩した際は、まずかかりつけ医に相談し、受診結果をふまえて施設や市区町村の窓口と利用の可否を相談する、という流れになります。これらの手続きの詳細は市区町村・施設ごとに異なるため、あくまで一般的な目安として捉えてください。

勘違いしやすいポイント

病児保育事業は国が実施要綱で類型や職員配置の基準を示していますが、対象年齢・利用料・予約方法・減免の有無などの具体的な運用は市区町村や施設ごとに異なります。「どの地域でも同じ条件で使える」と考えるのではなく、お住まいの地域の制度として個別に確認する必要があります。

子の看護等休暇についても、法律で定める日数や事由はあくまで休暇を取得する権利の枠組みであり、休暇中の賃金が支払われるかどうかは勤務先ごとの就業規則によります。「休暇イコール有給」と思い込まず、勤務先に確認することが大切です。

また、令和5年度の調査で示された割合は、調査に回答した保護者・市町村の範囲での結果にとどまります。「多くの地域で病児保育施設が不足している」といった一般化はできず、お住まいの地域の実際の状況は市区町村の窓口で確認する必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 子の看護等休暇は何日まで取得できますか。

A. 子が1人の場合は1年間に5日まで、子が2人以上の場合は1年間に10日まで取得できるとされています。取得の単位は1時間単位及び1労働日単位です。休暇中の賃金の扱いは勤務先の就業規則によるため、人事労務窓口で確認してください。

Q. 子の看護等休暇はどんなときに使えますか。

A. 病気・けがをした子の看護のほか、予防接種・健康診断を受けさせる場合、感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合、子の入園式・卒園式・入学式に参列する場合が事由として挙げられています。令和7年4月1日の改正で学級閉鎖等への対応や式典参列が追加されました。

Q. 病児保育にはどんな種類がありますか。

A. 国の実施要綱では、病児対応型・病後児対応型・体調不良児対応型・非施設型(訪問型)の類型が示されています。対象となる児童の状態や保育を行う場所、職員配置の基準がそれぞれ異なり、実際に利用できる類型はお住まいの市区町村・施設の実施状況によります。

Q. 病児保育を利用するにはどこに相談すればいいですか。

A. お住まいの市区町村の病児保育担当窓口、または利用を検討している施設に相談するのが基本です。対象年齢・利用料・登録や予約の方法は市区町村・施設ごとに異なるため、個別に確認する必要があります。

Q. 病児保育はすぐに利用できますか。

A. 受け入れの可否は施設やその時点の状況によって異なり、一律に「すぐ使える」とは言えません。かかりつけ医の受診や連絡票の確認を経て利用が決定される流れが示されているため、早めに市区町村や施設へ相談することをおすすめします。

この記事で言えないこと

この記事は、子の看護等休暇と病児保育事業について公表されている制度の仕組みを整理したものであり、お子さん個別の症状の判断や受診の要否、特定の感染症における利用可否といった医学的な判断はできません。体調に関するご相談は、必ずかかりつけ医にお尋ねください。

また、病児保育の具体的な利用可否・対象年齢・利用料・予約の取りやすさは市区町村・施設ごとに異なり、この記事だけで「利用できる・できない」を断定することもできません。利用を検討する際は、お住まいの市区町村の病児保育担当窓口および利用を検討している各施設に直接ご確認ください。

子の看護等休暇の取得条件や賃金の扱いについての個別の判断も本記事の範囲外です。取得を検討する際は、勤務先の人事労務窓口にご確認ください。


※本記事は2026-10-07時点で公開されているこども家庭庁・厚生労働省の公表情報および各自治体の公式ページをもとに作成した一般的な制度解説です。病児保育の対象・利用料・減免・登録や予約の方法は市区町村・施設ごとに異なり、記事中の自治体の数値は例示であって全国共通の基準ではありません。本記事は医療に関する助言や診断を行うものではありません。お子さんの症状や受診の判断はかかりつけ医に、利用の可否・料金・手続きはお住まいの市区町村の病児保育担当窓口と各施設に、休暇の取得は勤務先の人事労務担当窓口に直接ご確認ください。本記事は特定の施設・事業者・サービスの利用を推奨するものではありません。


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