出産する本人のパートナーが自営業・フリーランスで雇用保険に加入していない場合、パートナー自身は出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金のいずれも対象外です。これらはいずれも雇用保険の被保険者であることが前提の給付だからです。
パートナー自身が対象になる給付・対象外になる給付
まず前提として、出生時育児休業給付金(いわゆる産後パパ育休の給付)と出生後休業支援給付金は、どちらも「雇用保険の被保険者」であることが支給の出発点になっている制度です。パートナーが会社員・公務員のように雇用保険に加入した働き方をしていれば、休業を取得することで給付の対象になり得ます。一方で、パートナーが自営業・フリーランスとして働いており雇用保険に加入していない場合、そもそも被保険者ではないため、以下の2つの給付はいずれも対象外になります。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休の給付)
出生時育児休業給付金は、子の出生後8週間以内に「産後パパ育休」(出生時育児休業)を取得した雇用保険被保険者を対象とする給付です。主に父親が対象ですが、要件を満たせば養子縁組里親等の母も対象になります。支給額は休業開始時賃金日額に支給日数(上限28日)をかけ、67%を乗じて計算する仕組みです。
制度の建て付け自体は、パートナーが父親として育児にかかわることを想定したものです。しかしパートナーが自営業・フリーランスであれば、そもそも「雇用保険被保険者」という前提を満たさないため、休業を取得したとしてもこの給付を受けることはできません。会社に雇われていないことが理由であり、育児参加の意思や実態とは関係のない、制度上の対象範囲の問題です。
出生後休業支援給付金
出生後休業支援給付金は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受ける方のうち、同一の子について対象期間中に通算14日以上の休業を取得した方を対象に、2025年4月1日に創設された給付です。父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内に14日以上の育児休業を取得することが要件になります。支給を受けられる場合、出生時育児休業給付金・育児休業給付金の67%に本給付の13%が上乗せされ、合計で休業開始時賃金日額の80%相当となる仕組みです(社会保険料免除等と合わせて手取りベースで概ね10割相当とされます)。
この給付も、前提となる出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受けていることが条件です。パートナーが自営業・フリーランスで雇用保険に未加入の場合、そもそも前提となる給付を受けられないため、出生後休業支援給付金も同様に対象外となります。
申請の流れ
パートナーが雇用保険に加入していない今回のケースでは、パートナー自身についてはこれらの給付にかかる申請そのものが発生しません。会社員のパートナーであれば、産後パパ育休の取得予定や賃金状況を勤務先に申し出て、勤務先を通じてハローワークに申請するのが一般的な流れですが、自営業・フリーランスの場合はこの手続きの起点となる「雇用保険被保険者としての休業取得」自体が存在しない点を押さえておくとよいでしょう。
なお、出産する本人自身が使える出産手当金・出産育児一時金・育児休業給付等については、本人の雇用形態によって扱いが変わります。本人側の給付については別記事で解説しているため、そちらを確認してください。
勘違いしやすいポイント
最も混同しやすいのは、「パートナーが対象外だから、自分(出産する本人)も給付を受けられないのでは」という誤解です。出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金はいずれもパートナー自身の雇用保険加入状況に基づく制度であり、本人の出産手当金・出産育児一時金や、本人自身が雇用保険被保険者であれば受けられる育児休業給付とは別の制度・別の判定です。パートナーが自営業・フリーランスであることは、本人自身の給付の可否に直接影響するものではありません。
もう一つ注意したいのが、出生後休業支援給付金の要件です。この給付は「出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受ける方」が前提であり、パートナーがそもそもこれらの給付を受けられない今回のケースでは、出生後休業支援給付金の要件にある「配偶者が専業主婦(夫)の場合等は本人のみの育休取得でも要件を満たす」という例外規定が、出産する本人自身の育児休業取得に関して意味を持つかどうかは、本人の雇用形態・加入状況を踏まえて別途確認する必要があります。この点は本記事の範囲を超えるため、本人側の給付を扱う記事や窓口で確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 夫が自営業でも、私(出産する本人)の育児休業給付には影響しますか。
A. 出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金は、いずれも受給しようとする本人が雇用保険の被保険者であることが前提の制度です。パートナーの雇用形態が自営業・フリーランスであること自体が、出産する本人の給付の可否を直接左右するものではありません。本人自身の給付については別記事で解説しています。
Q. 夫が自営業の場合、産後パパ育休を取得すること自体はできますか。
A. 産後パパ育休(出生時育児休業)は育児・介護休業法上の休業制度であり、雇用保険の給付とは別の枠組みです。本記事は「出生時育児休業給付金」という給付の対象可否に絞って解説しており、休業の取得可否については雇用保険とは別の制度上の話になるため、勤務先や関係窓口への確認が必要です。
Q. 出生後休業支援給付金の「配偶者が専業主婦(夫)の場合等は本人のみの育休取得でも要件を満たす」という規定は、今回のケースに当てはまりますか。
A. この規定は出生後休業支援給付金の要件に関するものです。パートナーが自営業・フリーランスであるケースにこの例外規定がどう適用されるかは、給付を受けようとする本人側の雇用形態・加入状況によって判断が分かれるため、本記事では判断せず、本人側の給付を扱う記事やハローワーク等の窓口で確認することをお勧めします。
Q. パートナーが今後会社員になれば、産後パパ育休の給付を受けられるようになりますか。
A. 出生時育児休業給付金は雇用保険被保険者であることが前提であるため、パートナーが雇用保険の適用がある働き方に変わり、被保険者要件等を満たせば対象になり得ます。ただし個別の加入時期や要件充足の判断は、ハローワークでの確認が必要です。
Q. パートナーの自営業の所得や事業内容によって、給付の対象・対象外の判定は変わりますか。
A. 変わりません。出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金の対象可否は、雇用保険の被保険者であるかどうかで決まる制度上の判定であり、事業の所得額や内容によって左右されるものではありません。
この記事で言えないこと
本記事は、パートナーが自営業・フリーランスで雇用保険に加入していない場合の、パートナー自身の出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金の対象可否について、公表されている制度の枠組みを整理したものです。個別の受給額の試算、出産する本人の雇用形態を踏まえた育児休業給付等の可否判断、社会保険料や税務上の取り扱いといった個別事情に基づく判断はできません。ご自身やパートナーの状況に即した具体的な確認は、健康保険組合・年金事務所・ハローワーク・勤務先の人事労務窓口、必要に応じて社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
※本記事は2026-08-21時点で公開されている厚生労働省・全国健康保険協会(協会けんぽ)・日本年金機構の公表情報をもとに作成した一般的な制度解説です。制度の要件・金額・支給率は改正される場合があり、加入している健康保険組合や勤務先の規定によって手続き方法が異なることがあります。実際の受給可否・金額は、必ずご自身が加入する健康保険組合・年金事務所・ハローワーク、または勤務先の人事労務担当窓口に直接ご確認ください。本記事は特定の保険商品・金融商品の加入を推奨するものではありません。


