正社員が産休・育休でもらえるお金 総まとめ|出産手当金・育休給付・社保免除

産休・育休のお金

正社員として勤務先の健康保険・厚生年金・雇用保険に加入している人は、出産手当金・出産育児一時金・育児休業給付金・産前産後および育児休業中の社会保険料免除という4種類のお金・免除を受けられる制度上の対象者である。

正社員がもらえるお金・免除の一覧

正社員(勤務先の健康保険・厚生年金・雇用保険に加入)の場合、制度ごとの対象・対象外は次のとおりである。

制度 判定
出産手当金 ○ 対象
出産育児一時金 ○ 対象
育児休業給付金 ○ 対象
産前産後休業期間中の社会保険料免除 ○ 対象
育児休業等期間中の社会保険料免除 ○ 対象
国民年金保険料の産前産後期間の免除制度 × 対象外

出産手当金・出産育児一時金・育児休業給付金は、いずれも会社員として健康保険・雇用保険に加入し、保険料を納めていることが土台になっている制度である。産前産後休業・育児休業中の社会保険料免除も同様に、健康保険・厚生年金の被保険者であることが前提条件になっている。

一方、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度は、フリーランス・自営業・学生など「国民年金第1号被保険者」向けの制度であり、厚生年金に加入している正社員はそもそも対象区分が異なるため対象外という判定になる。正社員は厚生年金保険料そのものが産休・育休期間中に免除されるため、国民年金側の免除制度を使う必要がない、という位置づけで理解しておくとよい。

各制度の詳しい内容

出産手当金

出産のために会社を休み、その間給与の支払いを受けなかった場合に、健康保険(協会けんぽ・組合健保等)から支給される。

  • いつから・いつまで: 出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間が対象になる。出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間も支給対象に含まれる。
  • いくら: 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均を30で除した額(日額)の3分の2(1円未満四捨五入)が支給される。支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、「支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額」と「標準報酬月額の平均額」のいずれか低い額を使って計算する。協会けんぽ公式サイトの例示では、標準報酬月額の平均が17万円の場合、30分の1は約5,670円、支給日額は3,780円とされている。
  • どうやってもらうか: 勤務先経由で、加入している健康保険(協会けんぽ・組合健保等)に申請する流れが一般的である。

出産育児一時金

健康保険・国民健康保険いずれの被保険者(本人・被扶養者/家族出産育児一時金として)も対象で、雇用形態を問わない。

  • いくら: 2023年4月1日以降の出産では、産科医療補償制度加入医療機関で在胎週数22週以降に出産した場合は500,000円、産科医療補償制度未加入の医療機関での出産、または在胎週数22週未満での出産の場合は488,000円が支給される。
  • 対象になる出産の範囲: 妊娠85日(4か月)以降の出産であれば、早産・死産・人工妊娠中絶を含めて対象になる。また、資格喪失後でも、資格喪失日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失後6か月以内に出産した場合は本人分(家族分は対象外)が支給される。
  • どうやってもらうか: 協会けんぽ等から医療機関へ出産育児一時金を直接支払う制度があり、これを利用すれば出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がない。

育児休業給付金

雇用保険の被保険者(本人)が、1歳(一定要件で最長2歳)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、雇用保険から支給される。

  • いくら: 休業開始時賃金日額×支給日数×支給率で計算され、支給率は休業開始から180日目までは67%、181日目以降は50%である。
  • どうやってもらうか: 一般的には勤務先を通じてハローワークに申請する流れになる。

産前産後休業期間中の社会保険料免除

健康保険・厚生年金保険の被保険者(会社員等)が産前産後休業を取得した場合の免除制度である。

  • いつからいつまで: 出産予定日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産後56日までの間で、休業した期間が対象になる。
  • 免除される範囲: 被保険者本人分・事業主分の両方の保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除される。この免除期間は、将来の年金額計算上、保険料を納付した期間として扱われる。
  • どうやって手続きするか: 事業主が年金事務所へ「産前産後休業取得者申出書」を提出する。本人が直接年金事務所へ出向く手続きではなく、勤務先経由の手続きになる点を押さえておきたい。

育児休業等期間中の社会保険料免除

健康保険・厚生年金保険の被保険者(会社員等)が、3歳未満の子について育児・介護休業法に基づく育児休業等を取得した場合の免除制度である。

  • 免除される範囲: 産前産後休業の免除と同様に、被保険者本人分・事業主分の両方の保険料が免除され、免除期間は将来の年金額計算上、保険料を納付した期間として扱われる。
  • どうやって手続きするか: 事業主が年金事務所へ「育児休業等取得者申出書」を提出する。

配偶者やパートナーの状況で変わること

共働きの場合

夫婦ともに雇用保険に加入している共働き世帯では、育児休業給付金に加えて、パートナー側の育児休業取得に関する給付が関わってくる。子の出生後8週間以内に「産後パパ育休」(出生時育児休業)を取得した雇用保険被保険者(主に父親が対象。要件を満たせば養子縁組里親等の母も対象)には、出生時育児休業給付金が支給される。支給額は休業開始時賃金日額×支給日数(28日が上限)×67%で計算される。

さらに、父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内に、それぞれ14日以上の育児休業を取得することを要件として、出生後休業支援給付金という給付も用意されている。共働き世帯で夫婦それぞれが育休を取得する場合、この要件を満たせるかどうかを勤務先や制度説明で確認しておくとよい。

パートナーが自営業の場合

パートナーがフリーランス・自営業で国民年金第1号被保険者に該当する場合、そのパートナー自身は上記の出生後休業支援給付金・出生時育児休業給付金の対象にはならない(これらは雇用保険被保険者向けの制度のため)。一方で、出産予定日または出産日が平成31年(2019年)2月1日以降であれば、パートナー側は国民年金保険料の産前産後期間の免除制度の対象になりうる。この制度は平成31年(2019年)4月から開始しており、単胎の場合は出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間、多胎の場合は3か月前から6か月間が免除対象になる。届出は出産予定日の6か月前から可能で、住民登録している市区町村役場の国民年金担当窓口へ郵送または電子申請する。この免除期間も保険料納付済み期間として老齢基礎年金の年金額に反映される。

ひとり親の場合

出生後休業支援給付金は、配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親家庭の場合等は、本人のみの育児休業取得でも要件を満たすとされている。夫婦2人分の育休取得が前提の制度ではない点は、ひとり親家庭にとって確認しておく価値がある部分である。

申請の流れ

一般的な流れとしては、まず勤務先の人事労務担当に妊娠・出産の報告と休業予定を伝えるところから始まる。出産手当金・出産育児一時金は、勤務先を経由して加入している健康保険(協会けんぽ・組合健保等)へ申請する。育児休業給付金・出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金は、勤務先を経由してハローワークへ申請する流れが一般的である。産前産後休業・育児休業等の社会保険料免除は、事業主が年金事務所へ申出書を提出する手続きであり、本人が直接動く場面は少ない。国民年金保険料の産前産後期間の免除制度(パートナーが自営業等の場合)は、住民登録している市区町村役場の国民年金担当窓口が窓口になる。いずれの制度も、必要書類・提出期限・様式は勤務先や窓口によって運用が異なるため、早めに人事労務担当や各窓口へ相談しておくことが実務上重要である。

よくある質問(FAQ)

Q. 出産手当金と出産育児一時金は両方もらえますか?

A. 制度上は異なる目的の給付であり、要件を満たせば両方とも支給対象になる。出産手当金は休業中の所得を補う目的、出産育児一時金は出産費用を賄う目的の制度である。

Q. 育児休業給付金の支給率が180日を境に変わるのはなぜですか?

A. 制度上、休業開始から180日目までは休業開始時賃金日額×支給日数×67%、181日目以降は50%という支給率が定められている。境目や理由の詳細は厚生労働省の資料で確認できる。

Q. 産前産後休業中の社会保険料免除の手続きは自分でやるのですか?

A. 一般に、事業主が年金事務所へ「産前産後休業取得者申出書」を提出する手続きであり、本人が年金事務所へ直接出向く必要はない。勤務先の人事労務担当と手続き時期を確認しておくとよい。

Q. パートナーが自営業でも産休関連の免除は使えますか?

A. パートナーが国民年金第1号被保険者(フリーランス・自営業等)で、出産日が平成31年(2019年)2月1日以降であれば、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度の対象になりうる。届出先は住民登録している市区町村役場の国民年金担当窓口である。

Q. 出生時育児休業給付金はどんな人が対象ですか?

A. 子の出生後8週間以内に「産後パパ育休」(出生時育児休業)を取得した雇用保険被保険者が対象で、主に父親が想定されているが、要件を満たせば養子縁組里親等の母も対象になりうる。

この記事で言えないこと

この記事は公的制度の一般的な仕組み・対象要件・支給率の説明にとどまるものであり、個々人の標準報酬月額・勤続年数・休業期間などをもとにした具体的な受給額の試算はできない。また、特定の保険会社・金融機関の商品を推奨したり優劣を比較したりする内容も扱っていない。

実際に自分や配偶者がいくら受け取れるか、どの制度をどう組み合わせて申請すべきかは、勤務先の人事労務窓口、加入している健康保険組合、年金事務所、ハローワークへ直接確認することを強くすすめる。税務上の扱いや将来の年金額への影響を含めた個別の試算が必要な場合は、社会保険労務士・税理士・年金事務所など専門家への相談を検討してほしい。


※本記事は2026-08-21時点で公開されている厚生労働省・全国健康保険協会(協会けんぽ)・日本年金機構の公表情報をもとに作成した一般的な制度解説です。制度の要件・金額・支給率は改正される場合があり、加入している健康保険組合や勤務先の規定によって手続き方法が異なることがあります。実際の受給可否・金額は、必ずご自身が加入する健康保険組合・年金事務所・ハローワーク、または勤務先の人事労務担当窓口に直接ご確認ください。本記事は特定の保険商品・金融商品の加入を推奨するものではありません。


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