保活の第一歩は「指数」を理解すること
保活とは認可保育所等への入所を有利に進めるための情報収集・準備活動全般を指し、その核心は多くの市区町村が採用している「基本指数+調整指数」という点数制度の仕組みを理解することにある。この記事では、全国的な保育所利用の状況と、保活を進めるうえで最初に押さえておきたい指数制度の全体像を整理する。
全国の待機児童数は減少傾向、ただし地域差は大きい
保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)
こども家庭庁が公表している「保育所等関連状況取りまとめ」によると、令和7年4月1日時点で全国の待機児童数は2,254人で、前年比313人の減少となった。待機児童数は8年連続で減少しており、全国的には保育所等への入所しやすさが徐々に改善してきている傾向がうかがえる。
一方で、保育所等の利用定員は303万人(前年比1.5万人減)、実際に利用している児童数は268万人(前年比2.7万人減)となっており、定員・利用児童数ともにやや減少している。定員に対する利用児童数の割合を示す定員充足率は88.4%で、前年から0.4ポイント下がった。
また、待機児童が発生している市区町村は211で、前年より6減少したものの、依然として一定数の自治体で待機が生じている。つまり、全国合計の数字だけを見ると改善傾向にあるものの、待機児童の有無や深刻さは自治体によって大きく異なる。全国の傾向が良くなっているからといって、居住する自治体でも同様に入所しやすくなっているとは限らない点には注意が必要だ。自分の住む市区町村の実際の状況は、後述する自治体公式の利用調整基準や、市区町村の保育担当窓口への確認を通じて把握する必要がある。
保活の要「指数制度」の全体像
保育所等利用調整の基本指数・調整指数の仕組み(一般的な考え方)
認可保育所等の入所選考では、多くの市区町村が「指数制度」と呼ばれる点数化の仕組みを採用している。具体的には、父・母それぞれの就労状況等から算定される「基準指数(基本指数)」と、世帯の個別事情(ひとり親であるか、きょうだいが在園しているか、同居の親族がいるか等)に応じて加減点される「調整指数」を合計し、世帯全体の「合計指数(利用調整指数)」を算出する。多くの自治体では、この合計指数が高い世帯から順に内定していく方式が広く採用されている。
ここで重要なのは、基本指数・調整指数の具体的な点数や加点項目は自治体ごとに異なるという点だ。例えば江戸川区では区独自の基準に基づいて指数を算定しており、他の自治体も同様の枠組みを採用しているが、点数の付け方や加点対象は自治体ごとに違う。したがって、「一般的にはこういう仕組みだ」ということは理解できても、自分の世帯が実際に何点になるかは、必ず居住する市区町村が公表している公式の利用調整基準(指数表)で確認する必要がある。指数の仕組みを知らないまま申込書類を提出すると、記載漏れによって本来得られるはずの加点を逃してしまうこともあり得るため、まずは制度の全体像を理解することが保活の出発点になる。
保活で押さえておきたい4つの視点
指数制度の全体像を踏まえたうえで、保活を具体的に進める際は次の4つの視点で情報を整理すると進めやすい。
- 指数表の読み方:自分の自治体が公表している基本指数・調整指数の表をどう読み解くか
- 加点項目の逆引き:育児休業の延長やきょうだいの在園状況など、自分の世帯に該当しそうな加点項目をどう探すか
- 申込スケジュール:一次募集・二次募集の締切や必要書類の準備をいつから始めるか
- 点数が足りない場合の選択肢:認可外保育施設や企業主導型保育など、他の選択肢をどう検討するか
それぞれの詳細は、各切り口ごとの記事で個別に取り上げている。本記事はあくまで制度の全体像を整理する入口として位置づけているため、具体的な点数の計算方法や書類作成のコツについては、別記事や居住自治体の公式情報を参照してほしい。
育休からの復職時期との関係(概要)
保活のスケジュールは、育児休業からの復職時期と密接に関わっている。多くの自治体では、保育所の内定時期に合わせて復職日を設定する必要があり、逆に保育所に入所できなければ育児休業を延長するという判断が必要になる場面もある。育児休業給付の給付率や延長できる期間といった具体的な数値については、本記事では扱わず、「産休・育休のお金」カテゴリの別記事で詳しく解説している。保活と育休の制度は表裏一体の関係にあるため、あわせて確認しておくとスケジュールを立てやすい。
よくある質問(FAQ)
Q. 保活はいつから始めればいいですか?
A. 自治体ごとに申込のスケジュールが異なるため一概には言えないが、指数制度の仕組みを理解し、必要書類や加点項目を把握する準備は早めに始めておくと安心につながりやすい。具体的な募集時期は居住する市区町村の公式情報で確認してほしい。
Q. 指数が高ければ必ず入所できますか?
A. 指数はあくまで選考における優先順位を決めるための仕組みであり、指数が高いことが入所を保証するものではない。実際の内定は、その年度・その保育所における応募状況や定員によって変わるため、個別の入所可能性についてこの記事で判定することはできない。
Q. 待機児童数が減っているなら、保活の準備は不要ですか?
A. 全国の待機児童数は8年連続で減少しているが、待機児童のいる市区町村は依然として211あり、地域差が大きい。全国的な傾向が改善しているからといって、自分の住む地域でも同様とは限らないため、居住自治体の状況を個別に確認したうえで準備を進めることが望ましい。
Q. 基本指数と調整指数は誰でも同じ基準で計算されますか?
A. 「基本指数+調整指数」という枠組み自体は多くの自治体で共通して採用されているが、具体的な点数や加点項目は自治体ごとに異なる。江戸川区など一部自治体の例はあくまで一例であり、他の自治体では点数の付け方が異なる場合がある点に注意してほしい。
Q. 指数が足りなさそうな場合、どうすればいいですか?
A. 認可保育所以外の選択肢(認可外保育施設や企業主導型保育など)を検討する方法もあるが、どの選択肢が世帯にとって適切かは状況によって異なる。具体的な代替策の検討方法は別記事で扱っているほか、居住する市区町村の保育担当窓口に相談することも有効な手段の一つとなる。
この記事で言えないこと
この記事は保活と指数制度の全体像を整理したものであり、個別の入所可能性を判定・保証するものではない。世帯ごとの具体的な指数の点数計算、特定の保育所への入所可能性の見通し、特定自治体の点数基準が他の自治体にも当てはまるかどうかの断定は、本記事の範囲外である。また、育児休業給付の給付率や支給額など税務・社会保険に関わる個別試算についても、本記事では扱っていない。
実際の指数の計算方法や加点項目、申込スケジュールの詳細は、必ず居住する市区町村が公表している公式の利用調整基準(指数表)、および市区町村の保育担当窓口で確認してほしい。育児休業給付や社会保険料に関する個別の試算が必要な場合は、勤務先の人事労務窓口や年金事務所、社会保険労務士など専門家への相談を検討することをおすすめする。
※本記事は2026-08-21時点で公開されているこども家庭庁および自治体公式サイトの公表情報をもとに作成した一般的な制度解説です。保育所等の利用調整基準(指数表)・加点項目・申込スケジュールは自治体によって異なり、また年度ごとに変更される場合があります。本記事内の自治体の実例は、あくまで一つの自治体の例として紹介しているものであり、全国共通の基準ではありません。実際の指数計算・入所の可否・お住まいの地域の基準・スケジュールは、必ず居住する市区町村の保育担当窓口で最新の情報をご確認ください。本記事は個別の入所可能性を判定・保証するものではありません。


