中学・高校進学期に増える教育費と、その備え方
中学・高校進学期は学校教育費や学校外活動費が公立でも私立でも大きな金額になりやすい時期であり、進学前から複数年単位で資金の準備状況を確認しておくことが実務的に重要です。
この時期にかかる教育費の目安
子供の学習費調査(令和5年度)
文部科学省の令和5年度子供の学習費調査によると、公立に通う場合の年間の学習費総額(学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計)は、小学校が366,599円であるのに対し、中学校では542,450円、高等学校(全日制)では596,954円となっており、公立の場合は進学とともに増加する形になっています。
一方、私立の場合は小学校1,741,516円、中学校1,560,359円、高等学校1,179,261円と、進学に伴って必ずしも増加するわけではなく、私立小学校の段階ですでに高水準の費用がかかっていることが分かります。中学校と高校の間だけを見ても、公立(542,450円→596,954円)と私立(1,560,359円→1,179,261円)では動き方が異なっており、進学先が公立か私立かによって、この時期にかかる費用の大きさや変化の方向性は同じではありません。
なお、この調査における高等学校の数値は全日制のものであり、学校教育費・学校外活動費等の合計で、学校給食費は対象に含まれていない点にも注意が必要です。
この時期に検討されることが多い準備の視点
中学・高校進学期の費用に備える際、多くの家庭でまず意識されるのは「いつまでに」「どのくらいの規模の支出が発生しうるか」という時間軸の整理です。進学時期はあらかじめ分かっているため、進学の1〜2年前から現在の貯蓄状況や毎月の教育費支出の見通しを一度棚卸ししておくと、その後の準備がしやすくなるという考え方があります。
資産形成の手段として、NISAをはじめとする税制優遇のある積立・運用制度を教育資金準備の選択肢の一つとして検討する家庭もあります。ただし、こうした制度は運用成果を保証するものではなく、市場動向によっては想定より資産が増えないこともあり、進学時期に必要な金額を確実に用意できるとは限りません。学資保険のような保障性の高い商品を選ぶ家庭もありますが、どの方法を選ぶか、あるいは複数の方法を組み合わせるかは、各家庭の収入状況やリスクの取り方、進学先の見通し(公立か私立か)によって異なります。NISAと保険型の商品のどちらが優れているかを一律に判断できるものではなく、向き不向きは家庭ごとの事情によって変わってきます。
注意しておきたいこと
中学・高校進学期でまず注意したいのは、入学時にまとまった支出(制服・教材・部活動関連費用等)が短期間に集中しやすい点です。年間の学習費総額だけを見ていると、進学した年の前半に支出が偏る実態が見えにくくなることがあります。
また、私立進学を選択肢に入れている家庭では、小学校段階からすでに私立の学習費水準を経験している場合と、公立から私立へ切り替わる場合とで、費用の変化幅の感じ方が大きく異なります。「中学・高校で費用が増える」という一般的な傾向は、あくまで公立を継続する場合を中心とした傾向であり、進学先の選択によっては当てはまらないこともある点は押さえておく必要があります。
学校教育費以外の学校外活動費(学習塾や習い事等)についても、進学のタイミングで見直しが行われることが多く、その増減が家計全体に与える影響を事前に把握しておくことも実務的な備えの一つです。就学支援に関する公的な制度が用意されている場合もあるため、最新の内容については学校や自治体の窓口で確認することも選択肢になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 中学校・高校でどのくらい費用が増えますか?
A. 文部科学省の令和5年度子供の学習費調査では、公立の場合、小学校366,599円、中学校542,450円、高等学校(全日制)596,954円と、年間の学習費総額が段階的に増える数値が示されています。ただし私立の場合は小学校1,741,516円、中学校1,560,359円、高等学校1,179,261円となっており、必ずしも同じ傾向にはなりません。
Q. 公立と私立ではどのくらい費用が違いますか?
A. 同じ調査によると、中学校では公立542,450円に対し私立1,560,359円、高等学校(全日制)では公立596,954円に対し私立1,179,261円となっており、いずれの段階でも公立と私立の間には大きな差があります。
Q. NISAは教育資金の準備に使えますか?
A. NISAを含む資産形成の制度を教育資金準備の選択肢の一つとして検討する家庭はありますが、運用成果は市場動向次第であり、必要な時期に必要な額が確保できることを保証するものではありません。利用するかどうか、どの制度と組み合わせるかは、各家庭の状況に応じて判断する事柄です。
Q. 高校の学校給食費もこの金額に含まれていますか?
A. 含まれていません。今回確認できた調査の高等学校(全日制)の数値は、学校教育費と学校外活動費等の合計であり、学校給食費は対象外とされています。
Q. 教育資金の準備はいつ頃から始めればよいですか?
A. 一律の正解は示されていませんが、進学時期があらかじめ分かっていることを踏まえ、進学の数年前から現在の家計状況や支出の見通しを整理しておく家庭が多いと言われています。具体的な開始時期は各家庭の収入・支出状況によって異なります。
この記事で言えないこと
本記事は、公表されている学習費調査の数値をもとに、中学・高校進学期に一般的に検討される視点を整理したものです。各家庭にとって実際にどの程度の費用が発生するか、どの準備方法が適しているか、どの金融商品や制度を選ぶべきかについては、家族構成・進学先・収入状況等によって大きく異なるため、本記事だけで判断・断定することはできません。また、税制優遇制度の適用条件や個別の資産運用シミュレーション、具体的な保険商品の内容比較についても本記事の範囲外です。個別の状況に応じた具体的な準備方法については、ファイナンシャルプランナーや学校の窓口、自治体の相談窓口等の専門家に確認することをおすすめします。
※本記事は2026-08-21時点で公開されている大和総研の解説レポート・国税庁・文部科学省の公表情報をもとに作成した一般的な制度解説です。制度の要件・限度額・非課税措置の適用期間は改正される場合があります。実際の適用可否・手続き方法は、必ず口座を開設する金融機関、税務署・国税庁、または税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家に直接ご確認ください。本記事は特定の保険会社・金融機関・金融商品の加入を推奨するものではなく、どちらが有利かを断定するものでもありません。


