教育資金はどう準備する?こどもNISA・学資保険・一括贈与 制度の全体像

教育資金の設計

教育資金はどう準備する?こどもNISA・学資保険・一括贈与 制度の全体像

教育資金の準備には、こどもNISA・学資保険・教育資金の一括贈与・預貯金など複数の制度があり、それぞれ非課税枠や払い出し条件、値動きの有無といった性質が異なるため、家庭の状況に応じた検討が必要になる。

教育資金を準備する主な手段の全体像

教育資金の準備手段としてよく挙げられるものを整理すると、次のように性質が分かれる。

  • こどもNISA(2027年1月開始予定):つみたて投資枠の対象商品を購入する制度。値動きのある金融商品を扱うため、運用成果は確定していない。
  • 学資保険:保険会社が提供する貯蓄性の保険商品で、保障機能がついた商品を毎月の保険料払い込みで積み立てていく仕組み。契約内容によって性質が異なる。
  • 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置:祖父母などから子・孫への一括贈与について、一定額まで贈与税を非課税にする制度。
  • 預貯金:元本が大きく減りにくい一方、金利水準によって資産の増え方は変わる。

これらは「非課税になる範囲」「途中で引き出せるかどうか」「値動きの有無」がそれぞれ異なる。どれか一つに絞る必要はなく、複数を組み合わせて考える家庭も多い。

こどもNISA・一括贈与の非課税措置の内容

こどもNISA(こども支援NISA)

こどもNISAは、2026年度税制改正法の成立により制度化され、2027年1月1日開始予定とされている。購入できるのはつみたて投資枠の対象商品のみで、投資手法も成年のNISAのつみたて投資枠と同様、定時・定額の買付に限定される。

年間投資限度額は60万円、非課税保有限度額は600万円である。子どもが18歳に達した時点では、特段の手続きを要することなく自動的に成年のNISAのつみたて投資枠に移行する。

払い出しについては制限がある。原則として、譲渡益などを非課税で払い出すことはできない。中学校入学年より前は、災害等で家屋に被害が出た場合など限られた例外でのみ非課税での払い出しが認められる。中学校入学年以降になると、口座名義人である子ども本人の教育費や生活費に利用するための払い出しも認められるようになる。つまり、いつでも自由に非課税で引き出せる制度ではなく、時期による制限があることを踏まえておく必要がある。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

この非課税措置は、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間の贈与について適用されるものとされている。2026年(令和8年)4月1日以降は、新規にこの特例の適用を受けることができなくなる。

一方で、2026年3月31日までに金融機関と教育資金管理契約を結び、既にこの特例の適用を受けた金銭等については、制度終了後も引き続きこの特例が適用される。つまり「制度がなくなる」ことと「既に契約済みの分の適用が失われる」ことは別であり、この違いを混同しないことが重要である。

非課税限度額は1,500万円で、受贈者が30歳に達するなど一定の事由により特例の対象が終了する仕組みになっている。新規契約を検討する場合は期限が迫っているため、利用を考えている家庭は早めに金融機関へ確認する必要がある。

教育費の目安(文科省調査)

子供の学習費調査(令和5年度)

教育資金の準備を考えるうえでは、実際にどの程度の費用がかかるのかという目安も参考になる。文部科学省の令和5年度子供の学習費調査によると、学校教育費・学校給食費(高等学校は対象外)・学校外活動費の合計額(年額)は次のとおりである。

  • 幼稚園:公立184,646円/私立347,338円
  • 小学校:公立366,599円/私立1,741,516円
  • 中学校:公立542,450円/私立1,560,359円
  • 高等学校(全日制):公立596,954円/私立1,179,261円

いずれも公立と私立で年額に差があり、進学先の選択によって必要な資金規模が変わってくることが読み取れる。これらはあくまで令和5年度の調査結果であり、進学先や地域、家庭の教育方針によって実際の支出は変動する。

どう組み合わせて考えるか

こどもNISA・学資保険・教育資金の一括贈与・預貯金は、非課税の範囲や払い出しのしやすさ、値動きの有無がそれぞれ異なるため、どれか一つが常に優れているとは言えない。運用成果や金利、保障内容が確定していない以上、比較する際はその前提を踏まえたうえで検討する必要がある。

検討の視点としては、たとえば次のようなものが挙げられる。

  • いつ資金が必要になるか:進学のタイミングが近い場合は、値動きのある商品よりも引き出しやすい手段を優先する家庭もある。
  • 祖父母等からの援助があるか:一括贈与の非課税措置を利用できる家庭とそうでない家庭では、選択肢の幅が変わる。
  • 保障を重視するか、運用を重視するか:学資保険は保障機能がある一方、こどもNISAは保障を伴わない投資の仕組みである。
  • 家計の収入やリスク許容度:値動きのある資産をどの程度受け入れられるかは家庭ごとに異なる。

万人に共通する組み合わせ方はなく、家庭の収入やリスク許容度、子どもの年齢、祖父母からの援助の有無などによって、適した組み合わせは変わってくる。制度の内容を理解したうえで、自分の家庭に合う形を考えていくことになる。

よくある質問(FAQ)

Q. こどもNISAはいつから始められますか。

A. 本記事で確認できた公表情報の範囲では、こどもNISAは2027年1月1日開始予定とされている。2026年度税制改正法の成立により制度が決定した段階であり、具体的な申込方法などは今後の案内を確認する必要がある。

Q. こどもNISAで積み立てたお金は、いつでも自由に引き出せますか。

A. 原則として、譲渡益などを非課税で払い出すことはできない。中学校入学年より前は災害等の限られた例外でのみ非課税での払い出しが認められ、中学校入学年以降は子ども本人の教育費や生活費のための払い出しも認められる。時期によって扱いが異なる点に注意が必要である。

Q. 教育資金の一括贈与の非課税措置は、もう使えなくなるのですか。

A. 2026年(令和8年)4月1日以降は新規にこの特例の適用を受けることができなくなる。ただし、2026年3月31日までに金融機関と教育資金管理契約を結び、既に特例の適用を受けた金銭等については、制度終了後も引き続き適用される。

Q. 学資保険とこどもNISA、どちらを選べばよいですか。

A. 学資保険は保障機能がついた貯蓄性の保険商品、こどもNISAは値動きのある投資信託等を扱う非課税制度であり、性質が異なる。どちらが向いているかは、保障の必要性や運用へのリスク許容度など家庭の状況によって異なるため、一律に決められるものではない。

Q. 教育費はいくら準備しておけばよいですか。

A. 文部科学省の令和5年度子供の学習費調査では、幼稚園から高等学校までの学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計額(年額)が、公立・私立それぞれで示されている。ただし進学先や地域、家庭の教育方針によって実際の支出は変わるため、あくまで目安として参照するものである。

この記事で言えないこと

本記事は、こどもNISA・学資保険・教育資金の一括贈与・預貯金といった制度の性質や、公表されている教育費の目安を整理したものであり、次の点については扱っていない。

  • 個々の家庭にとって具体的にいくら準備すべきか、どの制度をどの割合で組み合わせるべきかという個別の試算・断定
  • 学資保険の具体的な返戻率や、特定の保険会社・金融機関の商品の優劣に関する判断
  • こどもNISAで運用した場合の将来の運用成果の予測
  • 贈与税・相続税に関する個別の税務判断や、家庭ごとの税額計算

これらは家庭の収入・資産状況・子どもの人数や年齢・リスク許容度などによって大きく異なるため、実際に制度を利用する際は、ファイナンシャルプランナー(FP)や税理士、取扱金融機関の窓口、国税庁・税務署などに具体的な状況を伝えたうえで確認することをおすすめする。


※本記事は2026-08-21時点で公開されている大和総研の解説レポート・国税庁・文部科学省の公表情報をもとに作成した一般的な制度解説です。制度の要件・限度額・非課税措置の適用期間は改正される場合があります。実際の適用可否・手続き方法は、必ず口座を開設する金融機関、税務署・国税庁、または税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家に直接ご確認ください。本記事は特定の保険会社・金融機関・金融商品の加入を推奨するものではなく、どちらが有利かを断定するものでもありません。


タイトルとURLをコピーしました