教育資金の一括贈与の非課税措置、2026年3月で新規適用は終了
祖父母などから教育資金をまとめて贈与しても贈与税がかからない「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、令和8年(2026年)4月1日以降、新たにこの特例の適用を受けることができなくなる。
「教育資金の一括贈与」という言葉を聞いたことがある家庭でも、実際にいつまでに何をすればよいのか、そして期限を過ぎたらどうなるのかを正確に把握している人は多くない。ここでは制度の内容と期限、今後の教育資金準備との向き合い方を整理する。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
この特例は、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間の贈与について適用される制度である。祖父母や親などの直系尊属から、子や孫などへ教育資金をまとめて贈与する場合に、一定の要件のもとで贈与税が非課税となる仕組みだ。
制度を利用するには、贈与を受ける側(子や孫など)が金融機関との間で「教育資金管理契約」を結び、贈与された金銭等をその金融機関に信託・預入等する必要がある。非課税となる金額の上限は1,500万円である。
そして本記事のテーマである期限について、国税庁の公表情報では次のように整理されている。
- 令和8年4月1日以降は、新規にこの特例の適用を受けることができない
- ただし、令和8年3月31日までに金融機関と教育資金管理契約を結び、特例の適用を受けた金銭等については、制度終了後も引き続きこの特例が適用される
つまり「2026年3月末で制度そのものが消える」わけではなく、「その日までに契約を結んでいた分は、その後も特例の対象として扱われ続ける」という設計になっている。逆に言えば、2026年4月1日以降に新しく契約を結ぼうとしても、この特例の対象にはならないということだ。
知っておくべき注意点
まず押さえておきたいのは、期限が区切っているのは「新規に契約を結んで特例の適用を受けられるかどうか」という一点だという点である。すでに契約を結んでいる家庭が、期限後にあわてて何かの手続きをしなければならない、という制度ではない。
一方で、これから教育資金の一括贈与を検討している家庭にとっては、2026年3月31日という期限が実務上の分岐点になる。この日までに金融機関と教育資金管理契約を結んでいなければ、この特例による非課税の適用は受けられない。
非課税となる金額の上限が1,500万円であることも、贈与を検討するうえでの前提として押さえておきたい。この金額を超える部分の扱いや、教育資金以外の目的で資金を使った場合の取り扱い、契約後に資金が使い切れなかった場合の扱いなど、細かい要件については本記事で確認できた公表情報だけでは網羅できない。実際に贈与を検討する場合は、取扱金融機関や税務署、税理士に、具体的な家庭の状況を踏まえて確認することが必要である。
また、制度の詳細な適用要件や、令和8年4月1日以降に別の制度に切り替わるのかどうかといった将来の制度改正については、本記事で確認できた公表情報の範囲を超える。最新の制度内容は、必ず国税庁の公式情報や取扱金融機関の窓口で確認してほしい。
他の教育資金準備の選択肢との関係
教育資金を準備する方法は、この一括贈与の非課税措置に限られるわけではない。こどものための資産運用制度や学資保険など、家庭によってさまざまな選択肢が検討されている。
ただし、運用を伴う制度は将来の運用成果が確定しているものではなく、保険商品も金利や保障内容によって特徴が異なる。どの方法が向いているかは、贈与を行う側・受ける側それぞれの資産状況や、教育資金が必要になる時期、リスクをどの程度許容できるかによって変わってくるため、一律に「この方法が有利」と言えるものではない。
この一括贈与の非課税措置についても、贈与税の非課税枠という特定の目的に絞った制度である以上、他の資金準備の方法と組み合わせるかどうか、どのような比率で使うかは、家庭ごとの事情に応じて金融機関や税理士などの専門家に相談しながら検討するのが実務的である。
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年3月31日を過ぎたら、教育資金の一括贈与はもうできなくなるのですか。
A. 令和8年4月1日以降は、この特例の新規の適用を受けることができない。ただし特例そのものがなくなるだけであり、贈与自体ができなくなるわけではない。特例の非課税枠を使わない形での贈与や、他の贈与に関する非課税制度の利用可否については、税務署や税理士に確認する必要がある。
Q. すでに教育資金管理契約を結んでいる場合、2026年3月末で何か手続きが必要になりますか。
A. 令和8年3月31日までに金融機関と教育資金管理契約を結び、特例の適用を受けた金銭等については、制度終了後も引き続きこの特例が適用される。本記事で確認できた公表情報の範囲では、期限到来だけを理由とした追加の手続きは示されていない。契約内容の詳細な取り扱いは、契約している金融機関に確認してほしい。
Q. 非課税になる金額はいくらまでですか。
A. この特例の非課税となる金額の上限は1,500万円である。この金額を超える贈与の扱いなど、より細かい要件については金融機関や税理士に確認することをすすめる。
Q. 2026年4月1日以降に新しく教育資金の贈与を考えている場合、どうすればよいですか。
A. 令和8年4月1日以降は、この特例の新規の適用を受けることができない。この特例を利用する予定がある場合は、令和8年3月31日までに金融機関と教育資金管理契約を結ぶ必要がある。期限が迫っている場合は、早めに取扱金融機関へ相談することが現実的な対応になる。
Q. この制度以外に教育資金を準備する方法はありますか。
A. こどものための資産運用制度や学資保険など、教育資金の準備方法は複数存在する。どの方法が向いているかは運用成果や金利、保障内容が確定していないことを前提に、家庭の状況によって異なるため、金融機関や専門家に相談しながら検討することがすすめられる。
この記事で言えないこと
本記事は、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、国税庁が公表している制度の枠組みと期限の情報を整理したものである。次のような点については、本記事の範囲では判断できない。
- 特定の家庭にとって、この特例を利用すべきかどうかという個別の判断
- 契約後の資金の使い道や、使い切れなかった場合の贈与税・相続税の具体的な試算
- この一括贈与の非課税措置と、こどものための資産運用制度や学資保険など、他の教育資金準備手段とのどちらが有利かという断定的な比較
- 2026年4月1日以降に新たな制度が設けられるかどうかなど、将来の制度改正の見通し
これらについては、本記事で確認できた公表情報だけで判断せず、実際に契約を検討している金融機関の窓口、税務署、または税理士などの専門家に、家庭ごとの状況を伝えたうえで確認することをすすめる。
※本記事は2026-08-21時点で公開されている大和総研の解説レポート・国税庁・文部科学省の公表情報をもとに作成した一般的な制度解説です。制度の要件・限度額・非課税措置の適用期間は改正される場合があります。実際の適用可否・手続き方法は、必ず口座を開設する金融機関、税務署・国税庁、または税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家に直接ご確認ください。本記事は特定の保険会社・金融機関・金融商品の加入を推奨するものではなく、どちらが有利かを断定するものでもありません。


