未就学期の教育資金準備、何から考える?
0歳から6歳までの未就学期は、進学に伴う教育費の負担がまだ本格化していない一方で、これから始まる長い教育費の支払いに向けて準備方法や積立のペースを検討できる期間でもある。この時期にどのような選択肢があるかを整理しておくことが、後の進学段階での判断をしやすくする。
この時期にかかる教育費の目安
未就学期の家計負担をイメージするうえでは、公的な調査で示されている数値を確認しておくと参考になる。
子供の学習費調査(令和5年度)
文部科学省が実施した令和5年度の子供の学習費調査によると、幼稚園にかかる年間の学習費(学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計)は、公立幼稚園で184,646円、私立幼稚園で347,338円となっている。公立と私立では年額に差があり、通わせる園の種別によって負担の水準が異なることがわかる。
また、未就学期の次の段階である小学校についても、公立で366,599円、私立で1,741,516円という年額が同調査で示されている。これらは調査時点の年額であり、今後の家庭の状況や進路の選択によって実際の負担は変わりうる。未就学期のうちにこうした目安を把握しておくことは、この先の教育費の全体像をイメージするうえで役立つ。
この時期に検討されることが多い準備の視点
未就学期に教育資金の準備方法として検討されることが多いのが、積立のペースをどう設計するかという点と、活用できる制度にどのようなものがあるかという点である。
こどもNISA(こども支援NISA)
公表されている情報によると、こどもNISA(こども支援NISA)は2026年度税制改正法の成立により制度化され、2027年1月1日に開始が予定されている。この制度では、成年のNISAのつみたて投資枠と同様に、つみたて投資枠の対象商品のみを定時・定額で買い付ける方式に限定される。年間投資限度額は60万円、非課税保有限度額は600万円とされている。
口座名義人である子どもが18歳に達した時点では、特段の手続きを要することなく自動的に成年のNISAのつみたて投資枠へ移行するとされている。また、払出しについては制限があり、原則として運用益などを非課税で払い出すことはできない。中学校入学年より前は、災害等で家屋に被害が出た場合など限られた例外でのみ非課税での払出しが認められ、中学校入学年以降になると、子ども本人の教育費や生活費のための払出しも認められるとされている。
未就学期からこの制度の活用を検討する場合、非課税枠の範囲や払出し制限の内容を理解したうえで、家庭の資金計画に組み込むかどうかを判断することになる。なお、こどもNISAのほかにも学資保険など複数の準備方法が存在するが、運用成果や金利、保障内容はいずれも確定しているものではなく、どの方法が向いているかは各家庭の状況や考え方によって異なる。特定の方法が一律に優れているとは言えない。
注意しておきたいこと
未就学期の教育資金準備でつまずきやすい点として、まず制度の開始時期を誤解しないことが挙げられる。こどもNISAは2027年1月1日開始予定の制度であり、現時点ではまだ利用できない。開始前から情報を集めておくこと自体は有用だが、開始時期を正確に把握しておく必要がある。
また、こどもNISAの払出し制限についても誤解が生じやすい。中学校入学年より前は例外的な場合を除き非課税での払出しができないため、幼稚園や小学校段階の急な支出にそのまま充てられる制度ではない点に注意したい。
さらに、運用を伴う準備方法については、将来の運用成果が確定しているわけではないことも踏まえておく必要がある。積立額や運用方法を検討する際は、元本が保証されるものではないという前提を理解したうえで、無理のない範囲で計画を立てることが実務的な進め方といえる。
よくある質問(FAQ)
Q. こどもNISAは今すぐ利用できますか。
A. 本記事で確認できた公表情報の範囲では、こどもNISA(こども支援NISA)は2027年1月1日開始予定の制度であり、現時点では利用できない。開始後の手続き方法などの詳細は、金融機関の案内を確認することになる。
Q. こどもNISAの年間投資限度額と非課税保有限度額はいくらですか。
A. 公表されている情報によると、年間投資限度額は60万円、非課税保有限度額は600万円とされている。
Q. こどもNISAで積み立てたお金は、いつでも自由に引き出せますか。
A. 原則として運用益などを非課税で払い出すことはできない。中学校入学年より前は、災害等で家屋に被害が出た場合など限られた例外でのみ非課税での払出しが認められ、中学校入学年以降は子ども本人の教育費や生活費のための払出しも認められるとされている。
Q. 幼稚園にかかる年間の費用はどれくらいですか。
A. 令和5年度の子供の学習費調査では、公立幼稚園が184,646円、私立幼稚園が347,338円という年額が示されている。公立と私立で差があるため、通わせる園によって負担は異なる。
Q. 教育費の準備は学資保険とこどもNISAのどちらが良いですか。
A. 運用成果や金利、保障内容はいずれも確定しているものではなく、本記事の範囲でどちらが優れているかを判断することはできない。どちらが向いているかは家庭の状況や考え方によって異なるため、それぞれの制度の仕組みを理解したうえで検討することになる。
この記事で言えないこと
本記事は公表されている制度情報や統計を整理したものであり、個別の家庭にとってどの準備方法がいくら必要か、どの制度を選ぶべきかを断定するものではない。学資保険とこどもNISAのどちらが有利かといった優劣判断や、将来の教育費の個別試算、税務・年金に関わる具体的な計算についても、本記事の範囲外である。実際の準備方法や金額を検討する際は、ファイナンシャルプランナーや金融機関の窓口、必要に応じて社会保険労務士や税理士など専門家に相談し、最新の制度内容や自身の家計状況に基づいて判断することをすすめる。
※本記事は2026-08-21時点で公開されている大和総研の解説レポート・国税庁・文部科学省の公表情報をもとに作成した一般的な制度解説です。制度の要件・限度額・非課税措置の適用期間は改正される場合があります。実際の適用可否・手続き方法は、必ず口座を開設する金融機関、税務署・国税庁、または税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家に直接ご確認ください。本記事は特定の保険会社・金融機関・金融商品の加入を推奨するものではなく、どちらが有利かを断定するものでもありません。


